最南端の町


ウシュアイアに近づくと湖や雪を被った山々が視界に現れ、峠では雪もぱらつき、最果ての地に来た感動の演出をしてくれた。
 ウシュアイアという町は観光地で、ホテルもたくさんあるし大きなスーパーマーケットもあるちょっとした町だ。昔自転車旅行で行った事のあるアメリカ大陸の北端、アラスカのプルドーベイの様な人影の無い石油基地のある、生物がいる事を感じさせない最果てらしいうら寂れた雰囲気は無い。町の背中の氷河や雪を被った山々とそれを映すビーグル水道の静かな海のある景色はどこから見ても絵葉書のように美しく、全く違う魅力のある町だ。入り江にはヨーロッパから旅をしている人達のヨットがぎっしりと並び漁船が殆ど見られない。ビーグル水道では漁業が盛んなのかと思いきや魚を含めて食料は殆ど輸入ものらしい。まさに最南端観光で成り立つ町なのだ。この港からは南極観光の船も出ていて2000ドル位からあるそうだ。旅したことの無い大陸は残り南極だけだし南極の山にも興味がある。でも船だとパーティー用に正装を用意しなくてはならないらしいし、そもそも狭い船内でうねる海を眺める旅をする自信は無かった。
 町としてはウシュアイアが最南端だが、ビーグル水道の南の対岸にある島はチリの領土で、プエルトウィリアムス(Pt.Williams)という村や道路もあるらしい。この村を大きくして町にして最南端の座をアルゼンチンから奪おうとする話もあるらしく、こんな所にも両国関係が見える。